10月9日、金曜日、幼児とあんず組が参加をして、お話し会が行われました。
9月は休園期間もあり、お話会も延期になっていたので、子どもたちはとても楽しみにしていたようです。
今回、お話し会のテーマは「十五夜とお月見」。今年の十五夜は、10月1日でした。四季のある日本では、秋が深まって、澄んだ夜空に浮かぶ美しい月を眺める日を「月見の日」とし、十五夜は1年で最も月が美しいとされています。
子どもたちは、お話会を先行してお家でも(帰り道もふくめてかな?)大きく輝く満月をめでたようです。
「お家でもお月見した!」
「お団子も食べたよ!」と、経験したことを話しながら、お話会への期待も膨らませていました。
今回のお話会では、秋という季節感を感じ、その季節が移り変わっていく中で出現する自然の美しいい現象でもある十五夜がどんなものなのか、お月見という風情ある文化的な営みに興味を持ってもらいたいと考え、お月見を題材にしたお話を選びました。
お話会当日は、すでに何となく環境認識として「季節」を理解している年中長児の子どもたちが、すすきや秋の食べ物をお話会のお部屋の入口に飾ってくれました。
子どもたち自らが、お話会に期待しつつ演出してくれた場所に入ってきた、あんず組の子どもたちも、普段の保育室とは違う雰囲気に、ワクワク感が増しているようでした。
1つ目のお話は、「お月さまってどんなあじ?」という絵本を保育者が読み聞かせをしました。
動物たちが、力を合わせてお月さまを捕まえようとする様子を、子どもたちは真剣なまなざしで見守ります。「頑張れ」「届くかな?」と、小さな声でつぶやきながら…。
子どもたちの読後感はどうだったのでしょうね?
「パリッ」と音がして手にしたお月さまのかけら。どんなのかな?
かけたところ、どうなったのかな?
本当に届くのかな?
子どもじゃなくても、知りたいことはたくさんありますよね。そして、一番気になるのは、「お月さまってどんなあじ?」なんだろう・・ですね。(笑)
ちょっと不思議で、ありそうでなさそうで、でも、もしかして・・・と、子どもたちの想像をかきたてるお話になったようです。
2つ目のお話は、「おつきみどろぼう」
子どもたちは、主役?のおばあさんの動きや、次々と出てくるいろいろな形の「お月見団子」に食い入るように注目。「キュッキュ、コロコロ」とお団子をつくるシーンでは、おばあさんやオオカミと同じように、お団子をつくる真似をしている姿もありました。
このお話は、トイレットペーパーの芯を材料にしたペーパー人形による人形劇です。お話会では初めて登場するペーパー人形。お団子を作るおばあさんもオオカミも、演じるのは先生なのか?人形なのか?お話の内容とともに、子どもたちがお話の世界観の表現手法をどう受け止めるのか?にも、保育者は期待しながら演じました。
その後、ペーパー人形を子ども達に文学遊びの道具としておろしたところ、手首につけたペーパー人形を通して、役になりきった声をだしたり、体の動かし方で表現したり、子ども自身がその人形に同化しながら自由にお話を表現して遊ぶ姿が見られました。
大きなまあるく輝く十五夜の満月。そんなお月見の季節は、同じころ秋の収穫が盛んな時期。昔から、秋の収穫物を供えて実りに感謝する行事でもあったということです。特に十五夜は芋類の収穫祝いを兼ねているので、別名「芋名月」とも呼ばれているそうですが、子ども達にとっても、秋という季節は自然が変化し、作物の収穫がされ、生活に不可欠な様々な営みがされてきた季節だと感じ取れる機会になり、自分を取り巻く自然や、生活の中にある日本の文化的な様式に触れたことが、少しでも興味につながっていく活動にできていたなら、より嬉しく思います。
それは、これからの日常活動の中で見られる子どもの遊びや会話の中で、たくさん表現されていくだろうと期待しているところでもあり、子どもが遊びの中で体験を昇華していけるような環境づくりが大切だと保育者の役割も感じているところです。
お話の世界には、ファンタジーと共に、たくさんの知識の種が詰まっています。子ども達に文学を提供する意味を、私たちは「思考を育てる」働きかけでもあると考えています。これからも、様々なテーマでお話しの世界を届けたいと思います。
また、次のお話会で、どんなことを子どもたちと一緒に楽しみ、学ぼうかな。